即時決済に向けた準備を 

2月 5, 2018
Bob Stark
 即時決済が現実のものになりつつあります。現時点では解決策より課題の方が多いものの、SWIFTのGPI、英国のFaster Payments、米国の同日決済ACHといったイノベーションが決済(settlement)と清算(clearing)を同日中に短縮化しようと努めており、この1年で議論が進んできました。現在、小口決済を含め、さまざまなリアルタイムの即時決済プロジェクトが進められています。近日中にユーロ圏の即時決済(SEPAInst)が展開される見通しで、ザ・クリアリング・ハウス(TCH)は米国にまったく新たな即時決済基盤を開発中です。
 
追加の記事: ペイメント・ハブのビジネスケース:支払や送金の集中化による効率性の向上と不正の削減
 
とはいえ、即時決済の現実化に伴い、財務プロフェッショナルが考慮し、備えるべき事柄も多々あります。
 
即時決済の活用例として挙げられるのは?
 
短期的には、即時決済はもう1つの送金手段となるでしょう。トレジャラーは電信送金、ACHやSEPAなどの小口決済に加え、まもなく即時決済も選択肢として利用できるようになります。ただし、即時決済はコストが増すことから、広く普及して費用対効果が十分発揮されるまで限られたシナリオだけに使われるものと思われます。
即時決済を優先的に使うケースとしては、緊急性の高い送金、具体的には1)支払遅延、2)返金、3)保険金請求があります。トレジャラーが今すぐに送金する必要がある場合、追加コストの発生は容易に正当化されるでしょう。
トレジャリー・チームはすでに即時決済に向けた役割を見越して、適切なシナリオで使うための決済ポリシーを策定できる状態にあります。
 
即時決済がマーケットの標準に
 
至急支払わなければならない場合を除いて、即時決済が近い将来一般化することはないにしても、最終的にはマーケットの標準になることでしょう。
良し悪しは別として、私たちは即座に反応を求める時代に生きています(皆様のお子さんもiMessageが「配信済み」から「開封済み」に変わるまで、いらいらしながら待っているのではないでしょうか)。テクノロジーは公私ともにいっそう私たちの生活の即時性を高め、決済についても、技術の進歩によってリアルタイムの決済が可能になることで同様の影響をもたらすはずです。サプライヤーはあなたが請求額をただちに支払えることを知っていて、またあなたも顧客に同じことを期待するようになります。テクノロジーが誕生し実証されれば、即時決済がマーケットの標準になるまでそう長くはかからないでしょう。
 
企業のトレジャリー部門にとっての意味
 
即時決済の最大の利点は予測しやすいことです。支払期日がいつかを正確に知っていれば、いつ送金すればいいかもわかります。これによりキャッシュが最適化され、支払が済むまで資金を拘束せずにすみます。
2番目の利点は、トレジャリーがサプライチェーンをより良くサポートできることです。サプライチェーン・ファイナンスなどのプログラムは、請求書の適切な提示、早期支払割引を受けるための照合と支払、あるいはリバースファクタリングの場合は、買主に対する期間延長の恩恵を受けられます。米国のザ・クリアリング・ハウスが開発しているようなリアルタイムの決済システムは、即時決済の要素を加えることで、請求と送金のプロセスを豊かにすることでしょう。この結果、トレジャラーはサプライチェーンに対してより迅速に流動性を供給できるようになり、サプライヤーリスクの軽減と自社の運転資金の保全を両立させることで付加価値を提供できるようになります。
 
不正については?
 
CFOにとって、即時決済の最大の懸念の1つは不正防止の難しさです。即時決済は送金から決済まで数秒で完了することから、いったん送金されたら取り戻すことはできません。
このことは必ずしも即時決済を避ける理由にはなりません。しかしながら、決済の即時性から、CFOとトレジャリー・チームはよりしっかりした不正防止対策に投資する必要性が高まっています。
すべてのシステム、すべての支払タイプで標準化した支払管理——理想的にはPOBO(支払代行)、シェアードサービスセンター、ペイメント・ファクトリーといった一元化戦略を適用することで、犯罪グループの餌食になりうる支払開始と承認における不一致を排除できるようになります。
さらに重要なこととして、疑わしい支払が銀行に届く前にそれらを突き止めるためリアルタイムで支払をスクリーニングする人工知能(AI)とシナリオベースのアルゴリズムが登場したことで、不正検知の精度が一層増しました。すべての支払管理を実施した後のこの最終防衛線は、財務の決済ポリシーに合わせた設定が完全に可能である必要があります。スクリーニングの対象が、特定の個人によって手を加えられた支払、あるいはユーザー定義の閾値に基づく通常ではありえない支払額のどちらであれ、カスタムシナリオを用いたリアルタイムのスクリーニングができることは、CFOとトレジャラーが自信をもって即時決済をフル活用できる安心感を与えてくれます。
 
 
財務は即時決済をどのように活用できるか?
 
短期的に、企業は直接銀行接続、SWIFT、またはローカルな銀行プロトコルを介して自社のERPとトレジャリー・システムから送金することで、取引先銀行の即時決済サービスを利用することになるでしょう。トレジャリー・チームは現在と同様、ペイメント・ファクトリーおよび不正防止ツールとして自分たちのトレジャリー・システムに依存し続けるでしょう。
とはいえ、今後登場する分散型台帳や暗号通貨、またフィンテック決済業者の台頭によりB2Bの決済に新たなチャンスが生まれるはずです。欧州でまもなく展開されるPSD2(Payment Service Directive 2)は、銀行経由だけでなく銀行のネットワーク外でもリアルタイムで送金できる機能を提供するペイメントサービス・プロバイダーにとって飛躍のチャンスになります。
トレジャリーテクノロジーのプロバイダーは、企業が任意の決済チャネルとフォーマットを通してリアルタイムで即時決済できるスケーラブルでセキュアな決済プラットフォームを提供することでこの変化に適応していかなければならないでしょう。
本記事は65,000人以上のトレジャリー、ファイナンス、ペイメント、資金管理のプロフェッショナルにとってグローバルな情報源となっているGTNewsに掲載されたものです。
 
*本記事は2017年11月に掲載された翻訳版となります。オリジナルはこちらをご参照ください。
 
 

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