グローバル財務ガバナンスの構築のための財務部門の役割と進め方

8月 13, 2017
下村 真輝

 弊社の製品は、グローバルでこれまで中小企業からフォーチュン500企業まで、様々な業種と規模の企業に導入して頂き、その数は現在1600社を超えております。 日本においても、キリバ・ジャパンが2012年に設立して以降、約50社の企業に導入頂いておりますが、導入企業の顔ぶれは様々です。当初は売上規模数千億円から1兆円規模の大企業や製造業が中心でしたが、ここ数年でお客様の顔ぶれが多様化してきております。

売上数百億円規模の企業や、サービス業、コンテンツ産業、大企業の関連会社、日本国内事業のみの企業、にも導入頂いたりしております。またお問合せ件数も年々増加しております。日々の活動を通じて、トレジャリーマネジメントに対する日本企業の認知度が高まってきていることを肌で実感しております。

 弊社の製品をご導入頂いた実際のお客様の導入目的を振り返って見ると、次のようになります。

  • グローバル全体の資金ポジションの可視化
  • キャッシュポジションの適正化及び余剰資金の活用
  • 資金繰り予測精度を高めてグループ内での更なる資金効率化
  • グループファイナンシャルリスク管理の高度化
  • グループ会社間における財務情報の共有
  • 財務リスクへの牽制体制の構築、等々

*詳しくはこちらをご参照ください。

 お客様によって詳細は異なりますますが、共通して言えるのは、グローバル財務ガバナンスの構築に取り組むために、ステップアプローチで弊社の製品を導入されていることです。ではここで、グローバル財務ガバナンスとは何でしょうか? よく耳にする言葉ではありますが、「グローバル」が付いている以上は、視点は「単体」ではなく「連結」であることに注目すべきだと考えます。また「ガバナンス(統治)」を「統治者」、「被統治者」、「統治の規律(ルール)」と言った要素で考えると、 連結経営においては統治者が本社、被統治者が連結子会社になります。

 これらを踏まえて、筆者の見解としては、グローバル財務ガバナンスとは、本社が、子会社任せにせず、連結子会社と密にコミュニケーションを取り、財務状況を理解・把握し、好ましくないと判断すれば、積極的に連結子会社に関与し、 全体最適の視点で規律を確保することであり、そのアウトプットとして、資金効率の向上やリスク管理強化、内部統制強化があると考えます。そして弊社が提供するトレジャリーマネジメントシステム(TMS)は、 財務管理ツールというだけでなく本社が子会社と密にコミュニケーションを取る上でのツールでもあると考えます。しかしながら、TMSはあくまでもツールです。グローバル財務ガバンスの構築のためには、 そのツールを使って実際にグローバル財務ガバンスを構築し運営する財務部門の役割が重要です。

 弊社にお問合せを頂くお客様に、お客様の組織における財務部門の価値は何か?財務部門の成功(=KPI)はどのようにして測られているのか?と質問させて頂いた時に、明確にお答え出来ないお客様がしばしば見受けられます。 これに付いて、良し悪しはなく、多くの日本企業の財務部門がまだまだ従来の伝統的な財務業務、主に資金ショートしないよう資金繰りを管理して、支払いをもれなく行う定型業務を中心の財務管理に留まっているからだと考えます。 グローバル財務ガバナンスの構築にあたっては、ツールとしてのTMS導入だけでなく、そのツールの使い手である財務部門が従来の財務管理業務から脱し、連結グループの司令塔として、グループ会社に対して強いリーダーシップを発揮し、日常の財務オペレーションに埋没することなく、戦略思考で新たな財務管理方法の導入による財務課題を解決・達成する部署に変革することが重要だと考えます(場合によっては、財務戦略・財務企画の専担部署の設置が望ましいかもしれません)。 そして財務部門のミッション及びKPIを明確にし、グローバル財務ガバナンスの構築を画餅に終わらすことなく、自社が描いたグローバル財務管理の高度化のロードマップを弊社含め外部パートナーとの協働で実現することが、財務部門の役割として求められます。

 加えて、グローバル財務ガバナンスの構築には、統治者である本社財務部門だけでなく、被統治者である連結子会社の積極的な関与・協力は大変重要です。子会社の積極的な協力を得るためには、 グローバル財務ガバナンスの構成要素の一つである「統治するための規律(ルール)」が必要となります。子会社の財務担当者は、どうしてもその子会社“単体”の財務に意識が行きがちですが、 そこを如何に子会社の財務担当者を「単体」ではなく「連結」の意識を持たすには、グローバル財務ガバナンスの構築を通して本社財務部門が成し遂げようとしているビジョンを明文化した連結のルール(ポリシーやフィロソフィーと言っても良いかもしれません)を策定し、 子会社の理解を醸成することが必要です。具体的には、金融機関取引、グループ資金管理、資金調達、為替リスク管理、子会社の剰余金処分等のテーマに関するルール作りが必要となりますが、単にルールだけでなく、 そのようなルールを策定する背景も子会社と共有することが重要です。

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