AFPの調査によれば、歴史的な信用収縮の中で、トレジャラーは戦略的な役割に益々応えている

9月 4, 2017
Bob Stark

 2008年9月15日、リーマン・ブラザーズが破たん。この日を境に、トレジャラーは戦略的な役割を求められるようになりました。 このとき、我々がこれまで経験したことがない、想像を超える規模の信用収縮が起きました。突然の想定外の事態に役員会はCEOにシンプルな問いを発しました。 「うちにはキャッシュはいくらあるのだ?」と。するとCEOはCFOに同じ質問をしました。CFOは今度はトレジャラーに同じことを聞きました。このような重要な問いに答えられるのはトレジャラーだけでした。

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 企業は常にキャッシュのことを気にかけています。しかしながらその時は、これまで貸してくれた金融機関から資金を調達できなくなっていて、 事業を継続させるために十分な運転資金を確保しておくことの重要性は飛躍的に高まりました。どのような景気減速や危機が間近に迫っていたのか、誰にもわかりませんでした。 危機の中で改めて思い知らされたことは、キャッシュが会社の生き残りの運命を握るということでした。そこで、トレジャラーが企業の中で最も関心を集めるようになったのです。

 あれから9年。トレジャリーがいかに企業内でスポットライトを浴びてきたのか、多くの事例や示唆について、AFPのレポート、「2017年版トレジャリーの戦略的役割に関する調査」が明らかにしました。そのレポートによれば、トレジャラーの80%は、2014年よりもはるかに戦略的な役割を求められていると語っています。同様に80%が、2020年にはさらに戦略的になっているだろうと言っています。その傾向は恐らく2020年で終わりではなく、その後も継続するでしょう。

従って当然のように、トレジャラーの責任が広がることでますますトレジャラーの役割に戦略性が求められてきています。そのレポートでは以下のような例を挙げています。

  • トレジャラーの79%は、外部借入に責任をもっている。
  • 61%のトレジャラーは、資金の長期運用、すなわち、元本を守りつつ、運用利回りを稼ぐことに責任を持っている。
  • 60%のトレジャラーは、送金の実施と送金戦略、すなわちキャッシュをどう支出させるかについて責任を持っている。
  • 54%が運転資本の管理、つまり事業に継続するために必要な資金を管理することに責任を持っている。

​ この観点から、同レポートは、この先3年間は資金の管理と予測はトレジャリーチームがもっともフォーカスすべきことであると予見しています。資金の管理と予測は、今更言うまでもなく過去20年に亘ってトレジャラーの最優先事項でした。しかしこれからも最も重要な事項であり続けるのです。

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 とはいえ、「資金管理業務」という呼び方は同じでも、その中身は大きく変わってきています。今の「トレジャラー」は、カウンターパーティリスク、カレンシーリスク、そして地政学的リスクのバランスをとりつつ流動性レベルのバランスをとるという、リスク・マネージャーです。バランスをとることについては、最近の税制改正の議論の中で注目されている点です。トレジャラーは、従来は節税目的で海外に置いておいたキャッシュを、事業体の価値創造を明確にできるよう、キャッシュを本国へ還流させたり、再配置したりすることが求められています。

 このことは第三者には、ごく当たり前の簡単なことに見えるでしょう。しかしキャッシュを管理するということは、ますます複雑になって、従来のプロセスやツールでは対応できなくなっているのです。

 AFPの調査によれば、ITを正しく使って会社に貢献していると答えたトレジャリーチームはわずか53%だったそうです。中にはIT化はしているが正しく使っていないために非効率だというケースもありました。しかし大部分は、目的に適したITソリューションを選択していないということです。

 この正しいソリューションを選択していないという点について、同レポートはまた理由を説明しています。回答者の42%は、ITを選択するときにコストやビジネスケースが成り立たないことが原因だと言っています。また全体の27%は、自分たちのニーズに合ったソリューションが見つけられないからだとしています。この点はトレジャリーソリューションのベンダーにとっては好機でしょう。というよりもベンダーの責任だという方が正しいかもしれません。

 今日でも、トレジャリーベンダーの中には機能だけを強調して、価格で勝負しているベンダーがいます。しかし、トレジャリーのテクノロジーは、それによってビジネスの価値を創造するものであって、単にプロセスを自動化してコストを削減するだけのものではないはずです。

 従ってもし、貴社が懇意にするトレジャリーシステムのプロバイダーが、貴社に予算があるかどうかだけに関心があったり、または価格だけで勝負をかけたりしてくる場合は、ひょっとしたら距離を置いて見た方がよいかもしれません。すぐれたITパートナーは、ツールを入れて見える化をしてどうするのかを一緒に考えるだけではなく、貴社の経営戦略をふまえて財務部門がどのようなビジョンを持つべきで、そのためにツールをどう使うかを提言してくれるはずです。トレジャラーが自分自身を会社に対する戦略的パートナーであると自負するのと同様、トレジャリーテクノロジーは、皆さんにとっての戦略的パートナーなのです。

This article first appeared on GTNews--US survey confirms treasurers’ strategic growth post- credit crunch

 

*本ブログは2017年5月の英語記事を翻訳したものです。オリジナルはこちら

 

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