財務管理とは

財務管理とは、事業のための資金を調達し、その資金を各事業に回してリターンを得て、経営指標を高めていく(企業価値を高めていく)、そしてそのために経営指標や財務指標をKPIとして、その活動を管理していくこと。
人や文脈により定義は異なり得るが、だいたい上記は異論がないだろう。

上記をさらに平たく言えば、従来は、「資金繰りの予測に基づき、足りなければ銀行からカネを借りる→事業部門が稼いでくれる→銀行に返済する」ということではなかろうか。
「従来は」と断ったのは、現在は、それだけでは不十分であるからであって、次の2点は財務責任者としてはいつでも経営に答えられるようにしておかないといけないものである。

1. リスク管理

「喉元過ぎれば」の感があるので改めて思い返そう。2008年のリーマンショック、2010年のユーロ危機。このような時に、予定していた資金調達が本当にできるのか? キャッシュインは大丈夫か? 資産を著しく減損させてしまわないか? 利益率から逆算するとわかるが、財務取引で失った資産や資金を営業活動で取り戻そうとすると、金額によっては不可能に近いこともある。

金融環境だけではない。2011年、東日本大震災とタイの洪水。グローバルに複雑に張り巡らされたサプライチェーンの一角が機能停止した。被災地域の事業再開への資金供給は大丈夫か? 稼働できる範囲でサプライチェーンを再構築するための資金手当ては大丈夫か?銀行にしろ資本市場にしろ外部から本当に資金を全額調達できるか? そのような時は世界中の企業が巨額の資金を必要とする。その時に地球全体で、それらの企業の資金需要を全て賄えるほどカネがだぶついているのか?

財務責任者は、自グループが現在、どこにどの程度のリスクがあり、有事の際には影響がどの程度なのか、どのような対応が必要なのか、経営に即答し、行動を起こさないとまずい。

2. 事業展開への積極的関与

言うまでもなく日本市場の飽和、グローバル化の中で各社とも買収や新規事業により生き残りのための投資を行っている。少ない資金で大きな投資リターンを得るのが理想であるから、事業計画の段階から財務面でのレビューは必須である。設備投資計画、売上計画に甘さはないか?計画通りには運ばないのが通常である。半年後、1年後、計画が未達で資金が必要になったらどうするか?その時に資金調達環境が悪ければどうするか?プランB、C、は必要である

計画の実行段階に移っても、言うまでもなく、月次でBS、PLをレビューして計画との乖離、資金の不効率な使い方のレビューは必須である。

そのためには、より他部門との連携を強化し、財務部門も自社ビジネスの理解度を深め、現業部門に助言をし、相互の協業関係を作っていく必要がある。
たとえば、某国で紛争が発生した時、自社拠点がなくても、その国のサプライヤーに依存しているかもしれない。リスク管理の面では必須の情報であるが、財務部門だけではなかなかわからない。

恐らくは、今の財務業務に忙殺されて、そこまで手が回らないかもしれない。ITの力を借りて、機械ができるところは機械に任せる。実際に財務部門が戦略的に活躍している日本企業では、決済尻の資金だけではなく、現業部門と連携して、取引の源流までさかのぼって資金の流れを把握し、資金効率を高め、リスク管理を行っている。