トレジャリー・マネジメント・システム(TMS)選定のベストプラクティス

6月 26, 2018
長瀬 大

トレジャリー・マネジメント・システム(TMS)の導入を検討するお客様が増えています。複数のTMSを比較するお客様もいますが、表面的な比較にとどまり、本質的な比較になっていないのではないかと感じることが多々あります。TMS選定=パートナー選定であり、お客様のビジネスゴールを実現できるパートナーかどうかが本質的な比較軸であるべきです。

 

本記事では、TMS選定において多くのお客様が陥りがちな落とし穴とTMS選定プロセスのベストプラクティスを紹介します。

 

1.TMS選定を取り巻く状況

日本国内におけるTMSの認知度向上を受けて、TMSの導入を検討するお客様が増えています。しかし、そのほとんどはTMS選定が初経験のお客様です。また、日本国内においては、TMSを導入済みのお客様はまだ少数です。頼りになる情報が少ないために、どのお客様も手探りで製品選定している状況です。

一方でコンサルティングファームにTMS選定支援を依頼するお客様もいます。コンサルティングファームは網羅的かつ詳細な比較表を提示することでTMS選定を支援してくれる存在です。一方で、各比較項目の重要度はお客様が決めるものであり、結果として算出された順位が本当に成功をもたらす順序になっているのか確信を持てない、という話も耳にします。

 

2.TMS選定の落とし穴

そのような状況の中、多くのお客様が同じ落とし穴に陥ります。それは、「比較すべきものを比較する」のではなく、「比較しやすいものを比較」するという落とし穴です。比較しやすい代表的存在は「機能」と「コスト」です。結果、機能とコストを偏重したTMS選定が行われることになります。しかし、それらは成功の十分条件ではないばかりか、最重要条件ですらありません。結果、成功可能性を高めることのない意思決定が行われます。以下は成功可能性を高めることのない代表的な落とし穴です。

 

A.「使う機能の使い勝手」ではなく「使うかもしれない機能の有無」を重視する

TMSを利用する上で本当に重要な機能は限られています。そして本当に重要な機能についてはどのTMSも大差ありません。重要かつ差がつくのは使い勝手の部分ですが、これは表面的な機能比較では判断できません。最悪ですがよくある話は、機能面で差をつけるためだけの機能比較項目を追加することです。

B.「費用対効果」ではなく「費用」のみを重視する

効果は機能の有無では測れません。そして表面的な機能の有無はどのTMSでも大差ありません。結果的に費用だけが最終的な判断材料になってしまいます。しかし、安い費用は誰かがリスクを負うことで成立しています。目先のリスクテイカーが誰であれ、最終的には、最終受益者であるお客様が何らかの形でそのリスクを引き受けることになります。

C.「成功事例」ではなく「失敗事例」を重視する

TMSは新しいソリューションであり、枯れたソリューションのような絶対確実な成功法則は存在しません。TMSの黎明期は、それこそ参考情報がないために、多くの企業が多くの失敗を積み重ねて現在に至ります。つまり、経験が豊富なお客様ほど多くの失敗事例を持っているということです。従って、失敗事例だけを取り上げて能力に疑義を持つのは、妥当な推論とは言えません。若い時に失敗を経験したが、その後多くの成功例を持つ外科医と、失敗もしていないが成功もしたことがない新米の外科医がいた時に、みなさんが手術をお願いするのはどちらでしょうか。

 

3.TMS選定のベストプラクティス

機能や価格ではないとしたらTMS選定において本質的に重要な比較軸は何でしょうか。それは「ビジネスゴールを実現できるパートナーかどうか」です。では、それはどのように評価できるのでしょうか。ビジネスゴールがお客様によって様々である以上、パートナーに求めるべき要件もお客様によって様々です。しかし、考え方や評価の枠組みは存在します。以下はそのサマリーです。完全な内容はホワイトペーパー(「TMS選定のベストプラクティス」)をダウンロードしてください。

 

A.TMS選定=パートナー選定であると位置付ける

B.機能とコストはあくまでも足切りラインとして使う

C.パートナーとしての総合力を比較する(フレームワークの活用)

D.成功事例=リファレンスを重視する(顧客紹介プログラムの活用)

E.重要な機能の使い勝手を検証する(製品デモの実施)

 

4.TMS選定の重要性

TMS選定=パートナー選定である以上、TMS選定はお客様のビジネスゴールの成功可能性に決定的な影響を及ぼします。そして、ビジネスゴールが達成できなかった場合、それはお客様にとって悲劇になります。

TMS導入および運用に希少なリソースは浪費された上に、最悪の場合、完成しないシステムや使われないシステムだけが残ります。経営陣および社内の他部門からの信頼は低下し、将来別の新しいチャレンジをする時の阻害要因になります。

また、ベンダーにとっても同様に悲劇です。特に我々のようなサブスクリプション型のビジネスを営むSaaSベンダーにおいては、お客様に継続利用してもらうことがビジネスモデルの大前提であり、カスタマーハッピーはお題目ではなく実際的に重要です。

 

5.ベストプラクティスの意義

ベストプラクティスに基づいて正しい意思決定していただくことの重要性はそこにあります。私たちは、不適切な判断基準で選ばれるのであれば、適切な判断基準で落とされる方を望みます。何故ならそれはカスタマーハッピーに繋がらないからです。

適切な判断基準により、お客様にとっての最善のTMS選定が行われるようになれば、ハッピープロジェクトの増加に繋がります。それはトレジャリーマネジメントが日本に根付くことに繋がっていきます。

 

詳細はこちらから資料をダウンロードしてお読みください。

 

ベンダーの立場を離れ、トレジャリーマネジメントに関わる一個人としてみれば、それはとても幸せなことです。また、ベンダーの立場としても幸せなことです。何故なら、トレジャリーマネジメントが根付くことにより、私たちのビジネスも一緒に大きく成長できるからです。

 

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