2020年:新しい年度におけるトレジャリーの発展に関する5つの予測

1月 8, 2020
Bob Stark

2020年の動向を予測する前に、2019年に当社の予測の精度に関して簡単に触れておきます。

当社の予測:金利が上昇し、運転資金の最適化と借入金の最小化がさらに注目されるようになるでしょう。
実際の結果:1年前に予測したほど金利の動きは活発ではなかったものの、余剰資金の削減と運転資金の合理化を図るベストプラクティスは、2020年も有効なアイデアになるはずです。

当社の予測:国境を越えた支払い - このブログでは、国境を越えた支払いを行う企業にとって、銀行以外の決済チャネルの重要性が高くなることを説明しました。
実際の結果:この予測は実現されていません。正式発表された「SWIFT GPI(Global Payments Innovation:国際決済イノベーション)」を含め、従来の決済チャネルにおいても、高い効率性を提供できることが原因の一つに挙げられます。また、VISAのような大手決済企業が代替的なB2B決済ネットワークの基盤を築いており、2020年にはさらに決済イノベーションが増えると思われます。

当社の予測:API - 2019年は、銀行とトレジャリーシステムプロバイダーの間に世界初のAPIが確立されると思われました。一部の世界トップの銀行がAPIを発表する、またはTMSやERPのインターフェースのテストを完了するでしょう。
実際の結果:予測通り、これらの銀行はリアルタイム決済とリアルタイムな現金収支報告を提供する機会を受け入れ始めています。これは、既存の銀行の現金管理サービスを補完することを目的とした新しいサービスになるでしょう。

当社の予測:データの視覚化:トレジャリーチームが、データの視覚化の価値、つまりデータを活用してビジネスをスマート化するダッシュボードの価値を認識し始めると予測しました。
実際の結果:この予測は実現しませんでした。キリバでは、50社以上の法人顧客にさまざまな資金管理、予測、支払い、コンプライアンス管理のダッシュボードを提供し、よりインタラクティブな分析体験を提供しました。一部のテクノロジープロバイダーは、従来の 「ユーザーインターフェース」 を使用せず、視覚的なダッシュボードを製品化しています。


2020年には、さらに多くの展開が見られるはずです。

当社の予測:ブロックチェーン - 2019年、トレジャリーにおいては、ブロックチェーンの発展は期待できないと予想しました。
実際の結果:実際に発展しませんでした。取引先のリスクやスケーラビリティ(拡張性)の問題は今後も障害として残るでしょう。当社の予測は2020年も変わりません。

当社の予測:ロボット工学 - 2019年、ロボット工学や人工知能は大きなインパクトを残すと予想しました。
実際の結果:RPAやAIによって提供されるビジネスチャンスを認識する財務チーム(トレジャリーを含む)が増えています。今後の展開については、2020年の予測で詳しく説明します。

今年を締めくくるにあたり、2019年が企業のトレジャリーチームにとってどんな年になったかは、当社の評価と概ね合致していました。2020年を見据え、当社が予測する5つのテーマを紹介します:

  1. データ主体の意思決定 - 今年の秋に行われたEuroFinanceとAFPの会議の両方で、さまざまなプレゼンテーションが開催され、トレジャリーの意思決定の有効性を高めるには、多くのデータを収集して分析する必要性があることが語られました。決済エラーの検出、効果的な収支予測の構築、キャッシュフローと貸借対照表の中でのネット為替リスクの削減などが例に挙げられます。

データ分析は、組織内のあらゆる業界や部門に影響を及ぼすものです。その結果、財務データの取得、検証、解釈が可能なトレジャリーツールに対する需要は、トレジャリー管理システムを含むトレジャリーの購買決定の高度化と促進を継続すると考えられます。キリバでは、製品ロードマップの50%は、お客様のデータ活用を支援する機能とサービスに割り当てられています。この傾向が2020年以降も続くと考える理由は十分にあります。

  1. 人工知能(AI) – データというテーマに基づいて、多くのトレジャリー担当者が人工知能をERPやTMSプラットフォームに組み込んでほしいと希望しており、トレジャリーRFPの25%以上が人工知能や機械学習の機能に対する洞察を求めています。

ロボットによるプロセスの自動化と人工知能の違いを確信持って区別できるトレジャリー専門家は多いものの(ヒント:一つは事前にプログラムされた自動化であり、もう一つは消費したデータから学ぶソフトウェアを搭載したもの)、2020年は機械学習が通常のトレジャリー管理ワークフローの一部になると予測されます。決済エラー、スマートな予測、現金照合、ヘッジの最適化などの用途例については、新しいテクノロジー導入を希望する企業の顧客を対象にしてテストを行っている段階です。2020年は、完全なAI搭載のソフトウェアプラットフォームが導入される可能性は低いものの、それぞれのトレジャリーソフトウェアプロバイダーによる意義深い進展(あるいは、適切なTMSプロバイダーと提携しているかどうか調査の開始)が期待できそうです。

  1. デジタル改革 – 今年まで、デジタル改革は曖昧な用語の一つでした。つまり、10個の組織があれば、10個の意味があったのです。2019年、私たちは財政主体のデジタル改革の実例を目にするようになりました。シングルハブで決済管理と承認の一元化、電子認証や文書交換による銀行口座開設、解約、管理の標準化、投資やFX取引のストレートスループロセッシングなどは、その例の一部です。

2020年、トレジャリー担当者が手動で業務を実行したり、スプレッドシートで現金持ち高や予測を管理する可能性はほとんどなくなるでしょう。2020年、現金、トレジャリー、決済の自動化は期待できますが、テクノロジーに関する知識を実証できない人材は、組織で取り残される、あるいは新しいキャリアを探さなくてはならないというリスクが考えられます。

  1. 地政学のリスク – 2019年、世界は政治の不安定を体験し、地政学的な認識は単なる為替リスクのヘッジだけではないことをCFO(最高財務責任者)やトレジャリー担当者に痛感させました。イギリスのEU離脱、関税戦争、断続的な貿易協定、為替相場の管理を金利に依存できないという事実、国家が支援する(または、国家が規制する)デジタル通貨の導入、選挙による政治的不安定など、さまざまな要因が重なり合い、2019年は記憶にある限り、収益に対して通貨が最悪の影響を及ぼした年でした。

私たちがこれまで学んだ事実、また企業のCFOが本腰を入れて求めていることは、CFOのチームが長期的なビジネスプラクティスにより、組織内からネットエクスポージャーを減らせるように、貸借対照表を含めたリスクエクスポージャーの理解を深めることです。一部の事例では、通貨主体で行われる場合もありますが、ほかの企業にとっては、サービス運営の共有化への移行、あるいはサプライチェーンとのオープンな取引条件の変更などを意味します。いずれの場合も、CFOやトレジャリー担当者にとって重要なのは、できる限り多くの財務データを収集して把握し、情報に基づいて、データ主導の意思決定ができるようにすることです。

  1. リアルタイムの財務業務 - バンキングAPIの登場により、リアルタイムで財務チームと情報交換や連絡ができる機会が増えました。現在、銀行APIではリアルタイム決済(および承認)が可能です。今のところ、リアルタイムなサプライヤーへの支払いは財務チームにとって魅力(メリット)がないものの、ほとんどの財務チームがリアルタイムで入金を受領できれば、運転資金の最適化につながると考えているようです。リアルタイムの支払い請求によって、リアルタイム決済が促進されると思われますが、2020年にもさらなる発展が期待できるはずです。

今年は、銀行残高と取引報告をリアルタイムで閲覧できるようになるはずです。日中の銀行取引報告書を受け取り、キャッシュマネジメントのワークフローや意思決定が実行できるので、多くのトレジャリーチームにとっては意義深いはずです。米国の場合はこれに該当しますが、ヨーロッパでは営業日の開始時に受け取った当日報告に基づいて現金の決定が行われます。リアルタイムの取引報告では、ユーザーが毎秒バンクポータルにログインしているような感覚で、常時銀行の報告を受け取ることが期待されます。このような追加情報の提供は、現金管理担当者が投資や借入の意思決定のタイミングを判断する場合に課題になるでしょう。2020年、全体的に考えると、これは「嬉しい悩み」になりそうです。

リスク管理の向上、トレジャリーデータの有効活用、リアルタイムなトレジャリー体験など、お客様の希望が何であっても、2020年が世界中のトレジャリーチームにとって実り多い年になることを願っています。

*本記事は2019年12月に掲載された翻訳版となります。オリジナルはこちらをご参照ください。