連結資金部のすゝめ

10月 16, 2019
屋形 俊哉

■連結資金部を作ろう 先日、あるお客様を訪問して名刺交換したとき、そのお客様の在籍部署に「連結資金部」とあり、そこに目が留まりました。

 会計の世界では連結決算や連結財務諸表など「連結」という言葉は当たり前のものとして使われ、経理部においても「連結」を冠した組織の存在は何ら特別なものではありませんが、財務はどうでしょう。日本企業の中で連結資金もしくはそれと同意の名前を持つ組織がある会社がどのくらいあるのかを考えてみると、そこに日本企業の財務部門が抱える問題(のひとつ)が表れているように思いました。

 私はこれまでのキャリアでは経理部側に寄った部署や仕事の割合が多く、そこでは税務申告以外は連結で考えるのが当たり前で(それも連結納税という制度が始まりましたが)、財務会計上の連結決算の開示こそ四半期ですが、業績管理という観点では日次、週次、旬、月など事業内容や管理目的に応じた様々なサイクルでのマネジメントを連結ベースで行うのが当たり前でした。対して、キリバに入社してグローバルにビジネスを展開している数多くの日本企業の財務部門の方々の話を直接間接にお聞きする中で、グループ全体の視点を前提にキャッシュマネジメントを考え、実践している企業が決して多くないことに違和感を覚えます。そんな中で目にしたお客様の名刺の「連結資金部」の文字。そして、思いました。

「連結資金部を作ろう。」

■形から入るのも「有り」

 とりあえず連結資金部を作ってみてはどうでしょうか。正式な組織であることが望ましいですが、始めは部活動みたいなものでもいいかもしれません。とにかく、連結資金をベースにキャッシュマネジメントを考える集まりを社内に作ってみてはいかがでしょう。

 これまでのお客様との会話でも、企業としての取組みは不十分と認識しつつ、財務業務をグループの視点で考えることの必要性を感じている方は少なくないように見受けられます。

 形があれば気持ちも入りやすく、形がいったんできれば継続しやすく、継続すれば日常の業務の中でもグループ視点で考えることが習慣づけられ、そうしたマインドを持った人の集まりのパワーはやがて組織を動かすものになるかもしれません。

 子会社の方も部員になってもらいましょう。国内国外問わずに。法人の枠を超えたバーチャルな組織というのは、特にホールディングの形態を持つグループ企業においては珍しいことではありません。

■期待効果

 一般的に日本企業の財務部門は経理部門と比べてグループ内でのコミュニケーションをとる機会が少ないですが、この取組みで親子間や子会社どうしでの交流が進み、財務部門の個々人のマインドも法人やリージョンの枠を超えたボーダレスなものに変わり、視野もよりグローバルになることが期待されます。

 子会社の方にとっては親会社を含めたグループでのチームのメンバーということで、モチベーションが高まり、財務グループとしての求心力が高まることも期待されます。交流を深めるために連結資金部ニュースのようなものも発行するのもいいと思います。そこには海外現法などのローカルな話題も載せましょう。全員じゃないにしても定期的にひとつの場所になるべく多くの部員が集まるような機会が設けられると、より効果的です。

 財務グループのグローバルでの人的ネットワークの確立は、日常の業務においても標準化が促進され、全体的な底上げが図れるのではないでしょうか。また、子会社の方がグループの一員であることを強く自覚することは、業務の精度や内部統制の点においても良い影響を与えると思います。

■最後に

 お客様の名刺をきっかけにいろいろと思いを巡らせましたが、形にはならずとも多くの財務に関連する方々が連結資金管理の必要性を感じていらっしゃるのは事実です。また、グローバル人材の育成・獲得を最重要課題のひとつにあげるCFOが多いというのはアンケートによる調査結果(*1)にも表れています。

 キリバ・ジャパンのミッションは財務業務の高度化を通じて日本企業の国際力の強化に貢献することです。そして、キリバ・ジャパンには財務業務の高度化に向けて、経験に基づいた具体的なアドバイスができるタレントたちがいます。(*2)

 そして、財務業務をいかにワクワクしたものに出来るか、様々なアイディアを思いめぐらす者もいます。(*3)

ぜひお気軽にご相談下さい。

*1:事業のグローバル化に伴う財務・リスク管理体制の実態と課題

*2:グループ財務管理の高度化プロジェクトのグループ会社への説明はどうするべきか?

*3:Why Kyriba for me -ERPベンダーに長くいた自分がKyribaにいる理由-

 

屋形 俊哉 (Yakata Toshiya) 
キリバ・ジャパン株式会社 プリンシパル コンサルタント
 
大学を卒業後、大手電機メーカーの経理/財務部門で事業部門担当の経理(原価管理、予算管理、等)や
子会社への出向を経た後、本社でグループ会社向けの標準会計システムの開発や導入支援に携わる。
2000年にSAPジャパンに転職、以後15年半、会計プリセールスとして製造業を中心に数多くの日本企業への
ERP会計及び関連ソリューションの提案活動に従事。その後、しばらくIT業界から距離を置き、
2018年4月にキリバジャパンに入社、今度は経理ではなく財務部門の業務改革
(もっとシンプルに、もっと柔軟に、もっとワクワクしたものに)をお手伝いすべく活動を再開。