ERPとKryibaの連携  -フロントERPとしてのKyriba-

7月 5, 2018
屋形 俊哉

■ERPのプロセスを補完するKyriba、ERPで強化されるKyriba

数多くの日本企業がERPを導入し、中でもSAP社のERPはグローバルに事業を展開する企業の基幹システム(もしくは会計システム)として日本では非常に高いシェアを占めています。しかし、そんな企業でも財務業務のシステム化については一部の企業を除いて進んではいません。

調達から支払いまでのプロセスを見ても購買業務と経理業務(GLや補助簿の記帳、原価計算や業績管理など)はERP等でシステム化しながら、肝心の「お金」に関するプロセスが手作業のままであるため、業務効率や内部統制の上で大きな問題を抱えたままです(図1.参照)。

KyribaはTMS(Treasury Management System:以下、TMS)のスタンドアロンのシステムとしても機能しますが、ERPと連携することでERPと銀行とのハブになってERPのプロセスを補完する役割を果たすことができます。また、KyribaもERPから入出金の予定情報や通貨別の帳簿残高などのデータを受け取ることで、精度の高い資金予測や財務リスクの適正なコントロールといったTMSの機能を強化することができます。

■グループ資金の可視化におけるERPの限界

ERPの資金管理のモジュールは関連する他のモジュールと統合し、入出金の予測や資金ポジションの情報をリアルタイムにレポートし、分析することができますが、その恩恵を受けられるのは同じERPシステムを利用している会社に限定されます。また、本当の意味での資金の可視化にはERP内の帳簿残高としての「お金」ではなく、銀行口座のリアルなキャッシュ情報は欠かせません。

 結果として、グループ資金の可視化には ①銀行口座の取引データ、②グループ共通ERPの会計データ、③共通ERP以外の会計データ、のすべてを取り込むためのソリューションをERPに外に用意するのが現実的な対応となっています(図2.参照)。

 

 

■フロントERPとしてのKyriba

 

 かつてSAP ERPがR/3と呼ばれていた頃、ERPシステムは今よりも幅広い業務領域を対象としていました。しかし、業務に必要なデータの所在や求められるリアルタイム性、更新サイクル、保存期間、さらには業務内容に応じた画面の操作性や業務フローの柔軟性などから、経営分析や連結会計がERPから切り出されたり、CRMやSCMの計画エンジンがERPとは別に開発されたりと、ERPの周辺には様々なアプリケーションが存在するようになりました。

 近年では人材管理や経費精算、オムニチャネルなどのクラウドベンダーを買収し、ERPを取り囲むアプリケーションはその種類も形態も多様性を増し、いつの頃からか「フロントERP」という言葉も使われるようになりました。しかし、この 「コアのERPの周辺に様々なフロントERPのシステムが存在し、ERPと連携する」 という形は、ERPが果たす役割の低下を意味するものではなく、ERPというシステムをより効率的に運用し、基幹業務システムとしての役割をむしろ強化するための構成であると考えます。そしてKyribaもフロントERPとしてコアのERPと連携し、ERPのデータを活用することでTMSとしての機能が強化され、また、ERPもKyribaによって業務プロセスが補完されるだけでなく、SaaSというクラウドサービスの形態によって企業内のリソースのERPの強化と運用への集中を促し、互いのシステムの価値をさらに高めることが可能となるのです。

Kyribaのクラウド型のTMSソリューションとお客様のERPとの組み合わせは、財務部門の業務の高度化と付加価値向上の強力な武器となり、企業の国際競争力の強化をサポートする重要なソリューションであり、ERPを導入済の企業にとっては、その重要性の割には初めの一歩を踏み出し易いソリューションでもあるのです。

さあ、始めましょう。

 

*関連リンク:財務用語解説シリーズ 「マルチERP接続」もご参考にしてください。