情報技術の世界では、その表現に含まれる単語の重要性を考えもせずに、新しい言葉が生み出されています。
これは、「マルチバンク接続」という言葉にも当てはまります。この場合、「マルチ」という部分が焦点にあてられます。
複数の銀行:正確には多くの銀行を効果的に管理する機能は、欠かせません。次の4つの要素を、考慮する必要があります。
銀行によっては、担当者が英語またはあなたの母語を話せない可能性もあり、技術的な作業が困難になるでしょう。
「マルチバンク」という場合、単に2~3行にとどまりません。50や100に届かないにせよ、時には10行、20行を管理している企業もあります。
IT部門主導の自社製銀行接続プロジェクトを立ち上げる際、 SAPへの連続的な銀行追加の難しさは、一般に最も軽視されているプロジェクト領域のひとつです。 確かにSAPはいくつかの標準フォーマットを提供していますが、様々なタスクの範囲の幅広さと複雑さのせいで、銀行接続は大きく誤解され、軽んじられがちな領域です。
グローバルなペイメントファクトリーの配備を目指す企業は、一般に、社内IT部門に対し、取引銀行に合わせた支払フォーマットと支払フローを構築し検証するよう求めます。
支払フォーマットには多くの要素が含まれるため、数百のカスタマイズを通じてそれぞれの環境で修正と検証を行う必要があります。その後、銀行とのテストが始まりますが、最初はほとんど上手くいきません。
フォーマットのカスタマイズには、以下が含まれます。
構築と検証が必要なフォーマットとシナリオの規模が、あまりに膨大で圧倒されることもあります。IT部門が行うアプリケーション統合のほとんどが、あるアプリケーションを別のアプリケーションと接続するものであるため、なおさらその傾向がみられます。 S/4HANAなどの大規模プロジェクトに着手している場合、IT部門は既にパンク寸前で、必要な支払フォーマット全てを構築し検証する時間など、ほとんどありません。
銀行によってプロトコル、ファイルフォーマット、セキュリティに違いがあるせいで、多くの場合、銀行別に支払のたびに単発で連動することになります。
例えば、A銀行 – 申請元フランクフルト支店 – 送金先マドリード支店- SEPA 支払-緊急性なし- 為替換算なし- ユーロといった支払シナリオもあるかもしれません。
エラーになれば支払処理は失敗するため、支払シナリオを銀行と一緒にテストする必要があります。支払を完了するには、全ての点で、各銀行が義務づける要件をきっちり満たさねばならないからです。けれど、そうなるとIT部門は、銀行間の違いを把握しなければなりません。
銀行接続を稼働させるには、一般に3、5、あるいは10種類のフォーマットが必要です。けれど、国際的な銀行接続プロジェクトには約500ものバリエーションがあります。
銀行接続を実現するには、一般に次のような手順を踏みます。
こうした複雑さから、新規銀行をひとつ追加するのに半年から1年かかることも多く、80行と言わずとも、範囲が5行、10行となると、S/4HANA移行の成功が阻まれかねません。
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