資金繰り予測の精度を向上させる「カイゼン」 ~ 標準原価の考え方を取り入れた予測精度向上の取組み ~

By 屋形 俊哉 2020年6月18日

■優先度№1の課題

今、キリバでは従来形式のセミナーが実施できない代わりに、テーマを細分化してオンラインセミナーを毎週実施しています。そして、セミナーの最後にアンケートを実施し、どのセミナーでも「財務部門の優先課題」についてお聞きしているのですが、回答結果がこの2、3か月で大きく変化しています。

それは、これまでずっと4、5番手くらいだった「資金繰り予測」が、今の状況下でトップにあがってきているということです。

キリバ・ジャパンでは「資金繰り予測」をテーマに様々な形で情報発信してきましたが、お客様の声と同様、最も力を入れているテーマのひとつとなっています。

■資金繰り予測の精度向上に重要なポイント

資金繰り予測は事業継続に欠かせない重要な業務でありながら、スプレッドシートを多用した手作業への依存度が高く、業務効率や予測精度の改善が課題となっている企業は少なくありません。

キリバでは予測精度向上のポイントとして以下の4つがあると考えます。
①最新データの収集頻度・収集量の増加
②収集及び集計業務の正確性と効率性の向上
③過去データとの検証
④予測と実績の検証

そして、キリバを活用した資金繰り予測のシステムに4つのポイントを当てはめると下図のようなイメージになります。

資金繰り予測のシステムイメージ

図が示す通り、資金繰り予測の元となるデータの収集や集計業務の自動化、さらにシステム内に蓄積されたデータを活用した分析レポートの作成などはTMS導入による効果が大きく期待できるところです。しかし、TMSを導入しただけでは資金繰り予測の精度は必ずしも向上するわけではありません。

資金繰り予測の精度向上に欠かせないのは、TMS導入後の予測精度向上のための改善プロセスに継続して取り組むことです。

■標準原価の考え方を取り入れた改善プロセス

バックオフィス系の業務システムの投資の狙いのひとつに、標準化という言葉がよく使われます。業務手順のひな型(標準プロセス)を作成し、自社及びグループ会社に展開することによって、
・グループでの業務レベルの底上げ(業務の効率化・アウトプットの迅速化)
・属人性の排除によるBCP対応やM&A後のPMIの円滑な推進
などを目的とした標準化です。

一方、この「標準」という言葉は原価管理の世界では、ひな型という均一性よりもあるべき姿、目指すべき目標という性格が濃くなってきます。
①初めにこの製品はこの手順で、これだけの作業工数で、この材料価格で作られるべき、という「標準」を作る
②そして生産の現場ではこの「標準」通りに出来ることを目標にする
③さらに②を続ける中での様々な気付き、アイディアを①の「標準」に反映させ、「標準」を進化させる

この原価管理における「標準」の位置づけを、グループの資金繰りの予測プロセスの標準化に取り入れると、標準化のメリットを従来とは違う視点からも訴求することができます。
①標準化によってグループの資金繰り予測のあるべき業務プロセスが確立される
②標準化されたプロセスと現状とを比較することで、現状プロセスの問題点が見つけやすくなり、関係者間での問題点の共有と改善施策の検討が進めやすくなる
③グループ内で標準化が広がれば広がるほど、改善施策のグループ展開が容易になり、改善施策の効果も大きくなる
④標準化によって現場(販売や購買などのキャッシュ生成の源流にあるプロセス)の改善活動と改善の結果(=予測精度の向上)の関連が可視化されやすくなり、現場への公平公正な評価が可能となる
⑤④は改善に取り組む人たちの資金繰り予測の精度向上の重要性に対する理解を深めることや、意識の高揚につながる

■改善プロセスを継続させるポイント

①~⑤の活動は一度だけの取組みではなく、継続させることがとても重要です。

すでに触れましたが、資金繰り予測の精度向上には販売や購買など、財務部門以外の方の参画が欠かせません。それは財務部門からの「依頼」という形ではなく、財務部門が改善活動をリードしながらも、他部門の方も当事者として参画してもらうことが大切です。

そのためには資金繰り予測の精度向上の活動が、社長もしくはCFOなどの財務経理のトップの方をスポンサーにした全社的なプロジェクトとするためのロビー活動(?)や、資金繰り予測の重要性を他部門の方に理解してもらうための啓蒙活動も必要です。さらに、④⑤にもあるように、改善活動が資金繰り予測の精度向上という成果として現れた場合は、改善に貢献した現場の方々を評価、表彰することも重要と考えます。

そして、この取組みに必要な工数とパワーを捻出するためにも、財務業務全般においてTMSなどのシステムの適用範囲を広げ、自動化や省力化を促進させることが必要です。また、予測プロセスにTMSを活用することは、改善の成果を公平公正に評価する上で重要な「予測プロセスの透明性を高める」という点でも威力を発揮します。

■最後に

資金繰り予測の精度を向上させる「カイゼン」のポイントは以下の3つです。
ⅰ)「資金繰り予測の精度向上」を全社的な取組みにするためのトップの理解と現場の協力
ⅱ)改善活動の継続
ⅲ)財務業務への思い切ったデジタル投資

ⅰとⅱのような他部門を巻き込んだ活動は、財務だけでなく経理業務の経験がある方のほうが慣れているかもしれません。工場経理の経験などあるとさらに良いでしょう。そういう方が近くにいれば、ぜひその方を巻き込むことをお勧めします。

ⅲについては、ぜひキリバにご用命ください。今の時勢に合ったソリューションに加えて、財務のプロフェッショナル、経理にそれなりに詳しいもの、ERPに詳しいもの、いろんなベンダーでの経験を有している者、調理師免許を有している者などなど、いろいろな視点とスキルと経験で、お客様の成功のお手伝いをさせていただきます。

 

<ホワイトペーパー>
資金繰り予測のベストプラクティス

<製品デモ動画>
・財務管理ソリューション紹介(資金の可視化と資金繰り予測)

<ブログ記事>
・精度の低い資金繰り予測がCFOにもたらす5つのリスク
・資金繰り予測の精度向上 ある日のイマジネーション
・不正確な資金予測があなたの足かせとなる4つのポイント

 


屋形 俊哉 (Yakata Toshiya)
キリバ・ジャパン株式会社 プリンシパル コンサルタント

大学を卒業後、大手電機メーカーの経理/財務部門で事業部門担当の経理(原価管理、予算管理、等)や子会社への出向を経た後、本社でグループ会社向けの標準会計システムの開発や導入支援に携わる。
2000年にSAPジャパンに転職、以後15年半、会計プリセールスとして製造業を中心に数多くの日本企業へのERP会計及び関連ソリューションの提案活動に従事。その後、しばらくIT業界から距離を置き、2018年4月にキリバジャパンに入社、今度は経理ではなく財務部門の業務改革(もっとシンプルに、もっと柔軟に、もっとワクワクしたものに)をお手伝いすべく活動を再開。
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