ERPの刷新プロジェクトから財務が取り残されないために

By 屋形 俊哉 2020年10月20日

■SAPの2025年問題

今、多くの日本企業が自社の基幹システムにおいて2つの「2025年問題」を抱えていると言われています。ひとつは、このままデジタルトランスフォーション(以下、DX)が進まなければ、2025年には最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性があると経済産業省の「DXレポート(※)」によって指摘されている「2025年の崖」であり、もうひとつはSAPの従来のERPの保守サービスが2025年に終了するという「SAPの2025年問題」です。

キリバ・ジャパンの既存顧客の約7割がSAPのユーザーであり、キリバを検討中のお客様の中にもSAPのユーザー企業が多い中、SAPの2025年問題をトリガーに基幹システムの刷新(更新)の検討を余儀なくされ、すでに刷新プロジェクトに着手している企業も少なくありません。

※経済産業省:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~

 

■これはチャンスです

そして、ほとんどの企業がERPの刷新において「デジタルトランスフォーメーションの基盤の確立」や「働き方改革/生産性向上の実現」、「ERP標準機能の徹底活用/アドオン廃止」といったテーマを掲げ、業務プロセスの改革を謳っています。

これは、これまでデジタル投資から取り残されることが多かった財務業務を、ERP刷新プロジェクトにスコープインさせる絶好の機会です。

理由として以下の4つがあると考えます。
理由1:業務プロセスの改革に伴い、経理財務の領域においてもゼロベースに近い形で既存のシステムの範囲に拘らずに検討をスタートさせる可能性が高い

理由2:財務業務はこれまでデジタル投資から取り残されている分、業務の高度化の余地=経営への貢献の伸びしろが大きく、また即効性(※)もある

理由3:ERP刷新プロジェクトはERP本体のバージョンアップだけを指すのではなく、ERPの周辺にある業務やシステムを含めた価値創造を目指す場合が多く、ERPだけにとらわれないデジタル投資が期待できる

理由4:ERP刷新プロジェクト全体で予算(枠)がとられるため、財布が大きくなりやすい

※即効性=有利子負債削減、金融収支改善、銀行手数料削減による企業収益の改善や為替リスク、不正支払いのリスク等への効果的な対応による損失回避など

 

■再び取り残されないために

ERP刷新プロジェクトでは、経理財務の領域においても既存システムの適用範囲に拘らないことから検討をスタートさせることが多いため、その取り組みの一環として、キリバにお問合せをいただくことが度々あります。

しかし、お話をお聞きすると、ERP刷新の検討メンバーに一応アサインはされてはいるものの、ERPのような大掛かりなプロジェクトに関わるのが初めという方も多く、どうしても受け身の姿勢で参画されているケースが多いように感じます。

そこで、今度こそ財務業務がデジタル投資から取り残されないようにするための提案です。

その1:ERPだけではなく、ERP+αプロジェクトにするよう働きかける
上述の通り、既存のERPの適用範囲だけに拘らずに検討をスタートさせるケースが多いとはいえ、検討範囲があまりに大きく、プロジェクトの当初の目的達成よりもプロジェクトを確実に終了させる「実現のし易さ」がいつの間にか優先され、検討範囲が狭まっていくということが度々起こります。プロジェクトに参画している一メンバーとしてだけでなく、財務という経営のスタッフ機能を持ったCFO組織の一員として、プロジェクトの目的とスコープの妥当性やプロジェクト開始後の方向性の検証等、プロジェクトに積極的に関わることが大切です。

その2:財務業務の改革による効果をERP刷新プロジェクトのアジェンダの1つにする
財務には経営への貢献の伸びしろと即効性があります。従来のERPのバージョンアッププロジェクトでは、その効果をどう経営にアピールするかについて多くのIT部門が苦慮していました。S/4 HANAへの移行は単なるバージョンアップではないとはいえ、経営へのアピール素材は多きに越したことはありません。

その3:SaaSの活用によるIT部門の負荷軽減とプロジェクトリスクの軽減を提案する
ERPの導入時と比べ、IT部門では業務の外注化やアウトソーシングが進み、自社IT部門のリソースが数、スキルともに不十分な企業が多く、導入時や運用においてIT部門に負荷をかけないクラウド型のSaaSソリューションが受け入れられやすい状況があります。事実、SAP社自身も人材管理、調達、経費精算など、ERP周辺のSaaSベンダーを次々と買収しています。

また、SaaSソリューションの活用にはERP本体刷新のスケジュールの影響を抑えながら、導入プロジェクトをERP本体よりも先にスタートさせて早期に稼働できるというメリットがあります。ERP刷新プロジェクト全体から見て部分的とはいえ、早期稼働はプロジェクト効果の早期刈り取りに貢献します。

 

■SAP ERPの導入企業だけの問題ではありません

SAP社のERPの導入企業に限らず、多くの企業がデジタルトランスフォーメーションによって「2025年の崖」への対処と、継続的な成長に向けた競争力の強化や働き方改革の実現などの経営課題に取組まれています。それは単なるシステム刷新の話ではなく、全社的な改革です。その実行を支援する立場としての財務の役割は重要ですが、財務部自身がトランスフォーメーションを実現することなしに、その役割を果たすのは困難ではないでしょうか。

「しかし、財務のトランスフォーメーションって何をどうすればいいのか、どこから手を付ければいいのか、ERP刷新やDXの流れから取り残されないために具体的にどうアピールすればよいのか。」

そんなときは、まずはキリバ・ジャパンにお問い合わせ下さい。キリバにはこれまでの多くの導入実績に裏打ちされたソリューションと経験があり、先人たち(キリバ導入済みのお客様)の知恵とネットワーク(ユーザー会)があります。

 

<関連するブログ記事>

 


屋形 俊哉 (Yakata Toshiya)
キリバ・ジャパン株式会社 プリンシパル コンサルタント

大学を卒業後、大手電機メーカーの経理/財務部門で事業部門担当の経理(原価管理、予算管理、等)や子会社への出向を経た後、本社でグループ会社向けの標準会計システムの開発や導入支援に携わる。
2000年にSAPジャパンに転職、以後15年半、会計プリセールスとして製造業を中心に数多くの日本企業へのERP会計及び関連ソリューションの提案活動に従事。その後、しばらくIT業界から距離を置き、2018年4月にキリバジャパンに入社、今度は経理ではなく財務部門の業務改革(もっとシンプルに、もっと柔軟に、もっとワクワクしたものに)をお手伝いすべく活動を再開。
img
エンタープライズ
リクイディティ

流動性を活性化し、企業の成長と価値創造につなげます

詳細はこちら