エクセル=財務リスク?

By 財務PRスペシャリスト ティム・ウィートクロフト 2014年8月25日

グローバル財務部門が直面するリスクとは

 

最近キリバが米国Association of Corporate Treasurersと共同で行ったアンケートでは、昨今の財務が直面しているリスクに触れました。今後リスクが増加すると答えられた要因は主に外部要因で、1)為替リスク、2)カウンターパーティー(銀行等)リスク、3)マクロ経済学的リスクでした。ここ数年の世界的な金融危機、信用危機は記憶に新しいでしょう。

 

しかし、各企業が感じた「リスク」はどのようなプラットフォームでグローバル財務・資金を管理していたかに影響されています。特に、エクセルなどスプレッドシートでほぼすべての財務管理を行っている企業が最もリスクだと感じたものは、TMS(Treasury Management System:グローバル財務管理システム)やERPの財務管理モジュールを導入している企業とは異なりました。

財務管理・担当者のアンケート結果

流動性が見えず、資金繰り予測の正確性が不十分(もちろん多くのスタッフを充て、工数/コストをかければ正確性は得られないわけではないですが)であることがリスクである、と感じている企業は、エクセルを使っている企業では60%にも上り、TMSやERPの財務管理モジュールを導入している企業では32%でした。つまり、エクセルで財務・資金を管理し現時点でのグローバルキャッシュ・ポジションを可視化し、そして資金繰り予測のPDCAサイクルを回し精度を増すのがいかに大変かがわかります。リーマンショック時に多くの企業がそうだったように、手持ち資金、または余剰資金が枯渇傾向の時に、リアルタイムのグローバル・キャッシュ・ポジションと、正確な資金繰り予測がわからない状態は極めて不都合で、下手をすると企業にとって致命的になりかねません。

 

財務リスク

 

エクセル主流の財務部門が抱える問題

 

エクセルのエラー、例えば単純なデータ入力ミスや、関数の間違いは、エクセルなどのスプレッドシートを財務管理のメインツールとして使っている企業の43%が財務管理に問題を引き起こすリスクのトップ3にあげました。それに比べ、ERP財務管理モジュールを使っている企業が、これに対するリスクを15%ほどと答えた事実を考えると、どの企業でもある程度はエクセルに頼っているとしても、エクセル自体がグローバル資金管理の軸となっている場合は多くの財務管理者・CFOの悩みとなっています。

 

エクセルは財務・資金管理をするのに一番コストをおさえられると考えられがちですが、企業に与えうるダメージ(金銭面や信用度、ブランディングなど)を加味すると、「エクセル=安い」という方程式は成り立ちません。むしろ手動での資金管理や資金繰り予測表の作成は非常に時間がかかります。マニュアル・タスクに費やす平均的な時間(突合作業や、データ入力など)は一年間のうち4.5ヶ月にもなり、財務管理システムを導入している企業に比べ2倍以上の乖離があります。

 

財務リスク

 

業務効率化以上のメリットとは?

 

財務業務の効率化は、財務部門のスリム化といったメリットをもたらしますが、それ以上のメリットとしてあげられるのは、財務担当者・管理者・CFOが「オペレーション」から離れ、企業に価値をもたらす、「資金の効率化」「財務面での戦略立案」「財務分析」に注力することができるようになります。もちろん財務管理システムは、ツールとしてグローバル財務・資金を可視化し、分析し、効果的な財務戦略をたてる支援をします。

 

結論

 

エクセルはどの業務用パソコンにもインストールされているので『ユビキタス』といえ、財務部門にとってはコストがかからないツールと思われるかもしれませんが、エクセルは非効率で、ミスがおこった際に払う代償が大きすぎ(JP Morgan社のエクセルによるミスで60億円($1=100円換算)以上の損失と多額の賠償金を支払いました)、財務管理システムに乗り換えることで、財務担当者・トレジャラーの本来の目的である「資金のリスクヘッジをし、企業の成長を支援する」という業務に注力すべきです。

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