FXリスク管理における多国間ネッティングアプローチ

By Andrew Deichler, Content Manager, Strategic Marketing 2022年7月22日

通貨変動が激しくなる中、企業はFXプログラムの効率化を求めています。世界中に事業所を持つ企業にとって、為替変動の影響を軽減するための実績のある方法は、企業間ネッティングプログラムです。

ウォール クリッパー コーポレーション(以下、ウォール (Wahl)社)は、キリバを使って多通貨間ネッティングの改革を行い、為替リスクを低減し、コストを大幅に削減しました。この取り組みはRSM US LLP(以下、RSM)の指導のもと、ウォール社の請求書回収の合理化、多通貨・多数当事者間のネッティング計算の自動化、FX取引の集約による取引件数の削減を実現し、大幅なコスト削減を可能にしました。
 

プログラムの構築
プロフェッショナルおよび個人用バリカン・トリマーの世界的トップメーカーであるウォール社は、165カ国でビジネスを展開し、世界6カ所の製造施設と11カ所の営業所を有しています。

ウォール社は最近、新しい ERP システムとして Microsoft Dynamics 365 の導入を開始しました。RSMのディレクターである Logan Wacker 氏は、キリバと統合することが、ウォール社の Dynamics 365 への投資価値を高める機会になったと述べています。これにより、ウォール社のチームは、企業間ネッティングのような、より複雑な財務機能をサポートすることができるようになりました。

このプロセスの最初のステップは、ウォール社のすべての銀行を接続して、同社が保有する現金に関する単一のグローバルな視点を提供することでした。Wacker氏は、「銀行残高と取引報告の自動化により、現金の可視性と現金へのアクセスが改善されました」と述べています。「そのことにより、マルチラテラル・ネッティングの現物決済を容易にすることを目的とした決済システムを最新のものへと刷新することに注力できました。」

そこでRSMは、360TのFX取引ソリューションを導入しました。これにより、為替スプレッドと、ウォール社が行っていたさまざまな取引に関する重要な知見を得ることができました。
 

マルチラテラル・ネッティング
Wacker氏は、自社(RSM)のクライアントのうち、多国間ネッティングプログラムを導入しているのは半分以下であることに言及し、「組織が世界中に現金を持っている時に、その価値の大きさがわかるからです」と述べました。そうとは言え、ウォール社の場合、FXエクスポージャーと、それにまつわる手数料をよりよく管理する必要があることは明らかでした。

このプロジェクトには、複数の目的がありました。

効率性の向上:ウォール社のネッティングおよびサポートプロセスを構造化および自動化することで、手作業に費やす時間を減らし、戦略的業務により多くの時間を割くことができるようになりました。
ネッティングの高速化:マルチラテラル・ネッティングのクローズのプロセスを自動化することで、切断されたFX決済プロセスを減らし、経営層に大きな可視性を提供することができます。
堅牢な制御:厳格な役割と責任、職務の分離、IT全般統制は、財務諸表の誤りや不正を減らす助けになります。
処理コストの削減:通貨の売買をグローバルで一元化することで、取引市場価格と銀行手数料を削減し、FXのエクスポージャーに関する報告書を単一のプラットフォームに統合します。

効率を上げることが特に重要でした、とWacker氏が説明するように、ウォール社にはFX取引を独自に、しかも多くの場合、効率の悪い方法で行っている事業部門がいくつかありました。「地域グループ会社が市場価格を上回る為替スプレッドで取引していたため、あまり効果的ではなく、ウォール社に多大な損害を与えていました」と同氏は述べました。「そのため、これらすべてを一つの傘下に収めることができる構造を作り上げることで、報告書作成の効率化とFXのエクスポージャーの可視性を高め、世界中の銀行パートナーとの取引全体に多くのメリットをもたらすことができました」。

しかし、このプロジェクトの目的は、事業部の自主性を完全に排除することではなかったと、ウォール社の財務/FP&A担当ディレクターであるFrank Bukowski氏は説明します。私たちが交わした合意は、「現在の銀行との関係は維持した上で、すべてをキリバに集約しますが、地域グループ会社には、銀行との関係においてコスト削減を推進する責任はまだ残っています。もし、何らかの理由でそれができないのであれば、本社が間に入ってサポートします」というものでした。

ウォール社は現在、すべての子会社が360Tシステムを使用できるようにオンボーディングしており、あらゆる第三者ベンダーとのFXの売買ができるようになっています。「しかし、企業間取引では、すべての取引、会社間支払債務と会社間受取債務は、キリバのFXネッティングプロセスを経て、それらのポジションを決済するためにここで外国為替を売買しています」とBukowski氏は述べています。
 

企業間の複雑性
ウォール社のような規模の組織では、事業部門は他の事業部門と契約を結び、企業間取引を行うことができます。これらの取引が計上され、地域会社の ERP アプリケーションの中に存在すると、キリバでのネッティングプロセスが始まります。月半ばに、会社間の支払債務と受取債権が各事業部門から集められ、照合、決済され、異議申立てが解決されます。

「そして、Frank Bukowskiや彼のチームのメンバーに、どの通貨を買い、どの通貨を売る必要があるか、また、それらの関係者のために全世界でどのような通貨が必要かを正確に報告することができます」とWacker氏は言います。

ウォール社はMicrosoft Dynamics 365に完全移行している最中ですが、その統合作業はまだ進行中です。そのため、多くの事業部では、まだそれぞれ異なる ERP システムを利用しています。幸いなことに、キリバは複数の ERP と連携する機能を備えています。「Microsoft Dynamics 365だけでなく、すべてのERPシステムから会社間の請求書のやり取りの流れが規定されているのです。これらの請求書は、キリバのプラットフォームへ取り込まれます。キリバが決済を行い、報告書を作成することで、財務部門がどの通貨を売買する必要があるのか、事業部門間の詳細について多くのインサイトを得ることができます。」
 

2つのネッティングセンター
ネッティングを理解している人なら誰でも知っているように、企業は国境を越えた資金移動を自由に行うことができない場合があります。そこで、ウォール社では現在、2つのネッティングセンターを設置しています。

米国のネッティングセンターはイリノイ州スターリングにあり、ウォール社が事業を展開しているほとんどの国のネッティン グを扱っています。企業財務チームは、請求書明細の収集とアップロードを管理し、キリバのネッティングプロセスを実行し、各子会社に、決済サイクルにあわせてネットポジションを通知しています。

ウォール社は、中国法人からの購入量が多い上、現地の規制がネッティングを複雑にしているため、中国に2つ目の地域ネッティングセンターを設立しました。このネッティングセンターは、中国の子会社から購入する企業に対して、キリバを通じたグロス決済を容易にします。

「また、どの国とネット決済ができないかを把握しておくことも重要です」と、Bukowski氏は付け加えました。「そのため、事前にそのことを認識しておくことで、多くの頭痛の種を減らすことができます。」

全体として、キリバを採用することは、新しい ERP システムに適応しながら、FXのエクスポージャーとその関連コストをもっと管理する必要がある財務チームにとって、完璧な解決策であることが証明されました。ウォール社は、キャッシュと通貨スプレッドの可視性を高め、会社間のネッティングプロセスを合理化することで、今後、 FX 取引を行う上でより有利な立場に立つことができるようになりました。
 
 

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