サイバー犯罪者や詐欺集団が、COVID-19の流行を利用して、高度なフィッシング攻撃、不正支払、詐欺を仕掛けています。ITセキュリティ企業のバラクーダネットワークスは、3月末に、1カ月足らずの間にフィッシングメールが667%増加したと報告しました。
残念ながら、犯罪者は恐怖と疑念が広がった環境につけこんで、マルウェアを配布し、認証情報を盗み、個人や企業からお金をだまし取っています。多くの人が在宅勤務の今、特に仕事の合間に家で子どもの勉強をみるなどする場合、気が散りやすくなっています。またテレワークに切り替わったことによる、ワークフローやプロセスの混乱に乗じる機会も生まれています。
こうしたサイバー攻撃の急増は、COVID-19がもたらす他の経営への圧力と相まって、企業の支払セキュリティの決定的な重要性を明確に示すものです。先日のオンラインセミナー(英語) で、キリバは、主な課題を検討し、パンデミック中もそれ以後も支払の安全性と効率性を確保するためのベストプラクティスを探りました。
不正には、様々な形があります。なかでも広く見られるのは、フィッシングです。信頼できる個人や企業をかたったメールやテキストメッセージを送りつけ、ユーザー名、パスワード、財務データなどの重要な情報を盗もうとします。例えば、企業のCEOやCFOを装ったメールで、送金を促すこともあります。 「犯罪者は一般に、緊急だと主張したり、不安を煽るメッセージを使います」と、財務業務の効率化を専門に手掛ける経営コンサルタント会社、 クリアサルティング でリスクアドバイザリー担当役員を務める、Sarah Vidmar は語ります。
自分のパソコンや携帯を使って仕事をしたり、テレワーク中にパーソナルネットワークや、安全ではないネットワークにアクセスする社員も、サイバー犯罪のターゲットです。ネットワークやデバイスが企業の管轄外である場合、IT部門が、基本的なセキュリティ基準を満たしているか確認することはできません。
不正支払は、以前から犯罪者の暗躍の場でした。 2020年 AFP 不正支払・支払管理調査 によると、2019年には81%の企業が、既遂または未遂の不正支払の標的となりました。例えば、あるグローバル金融サービス企業は昨年、フィッシング詐欺の被害に遇い、1週間足らずのうちに不正支払により1800万ドルを失いました。 別のIT企業は、.ディープフェイク(人工知能にもとづく人物画像合成の技術)でCFOを真似た動画に騙され、120万ドルを電信送金しました。COVID-19により、不正支払は間違いなくさらに増えるでしょう。だからこそ企業は警戒し、情報やベストプラクティスを積極的に共有する必要があります。
エクスポージャやリスクはどこにあるか、把握するのです。その意識がなければ、あっという間に不意を突かれるおそれがあります。
不正支払から会社を守るため、経理財務部門は次の3つの戦略を追求すべきです。
経理財務部門は、不正支払に対処する際、次の3つの基本的な情報セキュリティに関わるベストプラクティスを利用できます。
情報セキュリティのベストプラクティスと並び、支払セキュリティを強化するには、次の3つのワークフロー管理が欠かせません。
1. 例外の廃止 – 詐欺集団は、標準支払プロセスに設けられた例外を悪用します――例えば、緊急支払の場合は一定の管理を省略できるなど。.
2. 標準化 – 全ての支払システム内の、全地域のあらゆる人による全ての支払について、管理を標準化すべきです。たとえCEOでも、例外を認めてはいけません。
3. 集中的な支払 – 集中的なペイメントハブを通じて、管理の一貫性を確保できます。ペイメントハブが、データのシングルソースになるからです。支払確認の自動化、暗号化通信、リアルタイム可視化も可能になります。
強力なワークフロー管理を実施している場合も、不正に対する最後の防衛線として、支払スクリーニングが重要な役割を果たします。支払スクリーニングは、社内ポリシーを確実に遵守する上でも役立ちます。支払スクリーニングの活用は、次の3つの分野で有用です。
現在、多くの企業は、COVID-19によりでキャッシュフローと流動性が大きくひっ迫しています。同時に企業の資金が、不正支払を目論むサイバー犯罪者の格好のターゲットになっています。COVID-19が犯罪者に、「数百万ドル単位の儲け」をもたらしている可能性もあります。
このタイミングで、多額の資金を失うのは避けたいものです。そのため、支払セキュリティ強化への投資が、これまで以上に重要です。そうすることが、目下のパンデミックをしのぐ上で役立つだけでなく、企業の強靭性も高まり、今後の更なる危機を巧みに乗り切れます。
支払をめぐる環境の変化、支払・明細ハブが価値を付加する理由、実現できる各種のメリットについて、詳しくはキリバが先日開催したウェビナー “Driving Payments Security and Efficiency during COVID-19(COVID-19流行中の支払セキュリティと効率性の改善)”の動画をご覧ください。