TMSの本当の価値とは?

By Kyriba Japan Marketing 2021年1月6日

*本ブログは2016年5月の英語記事を日本語訳したものになります

 

トレジャリー・マネジメント・システム(TMS)の価値は、ここ数年で大きく変わりました。TMSの導入目的は、数年前までは、業務効率を改善し、生産性を向上し、作業時間を削減することが全てでした。これらは財務担当者個人にとっては依然として重要なことですが、財務部門全体やCFOの観点から見ると、時間の削減はあまり大きな意味を持ちません。

 

生産性の何が問題なのか?

 

財務業務に使われる時間の削減はもちろん大切なことです。しかし、CFOにとってみれば、時間の削減自体に価値はありません。例えば、TMSによって作業時間を40時間くらい削減することは簡単です。しかし、それだけでは人員の削減にはならず、人的コストは変わりません。これには、二つの理由があります。

 

1.  削減された時間は財務のチーム全体をまとめてのものです。仮に一人を削減するには、その担当者の業務を他のメンバーに割り振りなおさなければなりません。

 

2.  一般的にそもそも財務チームは人手不足です。作業時間が減った分、ようやく本来の付加価値業務ができるようになったということです。

 

人件費は減りもしないので、作業時間を削減する努力の結果は、計りにくい、眼に見えないコストになります。計りにくいコストだけでは、TMSの投資に関するROIは成り立ちにくく、CFOが今すぐ承認しようとするだけの重要性、喫緊性は認められません。

 

TMSの投資価値はどのように計算できるのか?

 

TMSの価値は、コスト削減にあるのではありません。TMSによってできるようになることの価値です。それが説得力のあるROIを生み出します。具体的には例えば、以下のようなものです。

 

資金の見える化

 

見える化とは、かなり使い古された陳腐な用語の一つです。しかし、資金が見えたことによって判ったことがあり、それに基づいて判断をして、実行したアクションから得られるベネフィットは、損益計算書のボトムライン、つまり利益に直結します。「資金の見える化」という用語自体は全く目新しくありませんが、今なお、その価値は非常に大きいものです。しかしながら、本当にその価値を効果のあるものにするには、資金の見える化と資金予測はセットでなければなりません。正しい予測があって初めて、将来の資金繰りや流動性を自信をもって見通せるのです。確固たる見通しの下、よりよい利回りで運用し、負債を返済し、より好条件で借り入れ、為替のヘッジを無駄なく効果的に行えるようになるのです。

 

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TMSは、資金を見える化し、事業や会社ごとにばらばらになっている予測をまとめて取り込み、一元的に扱えるようにしてくれるだけではありません。予測と実際の差の分析、予測同士の差の分析を踏まえて、論理的な予測ができるようになることによって、自信をもって予測できるようになります。その結果、予測は完璧と思える内容に仕上がり、その結論を自信をもって展開できるわけです。

 

「確かであるということ」、つまり「確かなことに基づいて予測されているということ」が、見える化と予測の価値を高めるのです。予測の正確性が疑わしいと、判断が保守的になります。つまり、不安が残るので、銀行にもっと資金を置いておこうということになり、予測しても仕方ないという評判になれば、そもそも財務部門がいる意味って何?ということになります。

 

拡張性

 

TMSは財務担当者に、より少ない労力でより生産的な仕事ができるようにします。企業の成長過程においては、いたずらに財務担当者を増やしたくありませんが、TMSがあれば、追加で人を採用する必要はありません。冒頭で、TMSを入れても人は減らない、人を減らすことがTMSの価値ではないと言いましたが、人を増やす必要がないというのがTMSの価値です。これはグローバルでビジネスを展開している企業が普通に行っていることです。グローバルに進出すると、取引銀行とその口座の数が増えますが、地場の銀行との取引も増え、通貨も増えるので、例えばプーリングの組み合わせは、実際に増えた口座数の3倍や4倍などになります。これを彼らは財務人材を増やさずに行っているのです。

 

TMSによって人の採用を先送りにできるのであれば、TMSのROIはシンプルに成り立ちますし、TMSの導入が正当化できるのです。

 

カネを扱うプロセスの統制

 

不正やサイバー攻撃は、CFOが自らイニシアチブをとって対処しないといけない重要なリスクです。財務統制の強化は、極めて重要な命題になっています。

 

不正やオペミスのリスクを低減させるTMSの主な機能としては、二重認証、IPアドレスのフィルタリング、デジタル署名、申請と承認の職務分掌、支払内容を勝手に変更させない仕組み、二重管理、送金規制国宛の送金のスクリーニングなどです。

 

これらの統制機能の価値を数値化するとすれば、不正による損害額の期待値、すなわち、不正送金の額やハッキングされた口座の残高に、不正が起こる確率を掛けた数値になります。直接損害額に加え、株価の下落のような信用を無くしたことによる損害も考慮に入れなければなりません。

 

オペミスによる損害額の期待値も同じ計算式で得られます。その確率は不正よりもはるかに多いでしょう。

 

例えば、スプレッドシートのセルの関数式がいつの間にか変わっていて起きたミス、0が一つ余計に入力されていたミス、何らかのミスでたまたま当座借越になってしまったミス、重複支払のミス、そのようなミスは、不正の確率よりは非常に高いでしょう。多くの調査や研究で、スプレッドシートの95%は何らかのエラーがあることがわかっています。すなわち、TMSのビジネスケースを作り、費用対効果分析を行うときは、財務業務で利用しているスプレッドシートの誤りがなくなることによる効果も含めなければいけません。

 

事業継続性

 

何が起きても財務業務を滞りになく行うということは、どのCFOやトレジャラーにとっても、ゴーイングコンサーンの観点からも決定的に重要です。TMSは、強力な事業継続のソリューションを用意していて、次の4つのシナリオを防ぎます。

 

1.  担当者の交代 — TMSは日々の業務を標準化するので属人化せず、特定個人の知識やそのスプレッドシートに依存することはありません。新メンバーに対する研修を最小限にし、新メンバーが1日も早く戦力になるようにします。

 

2.  会社施設の破壊 — 多くのTMSはクラウドです。少なくともオフサイトにホスティングされています。ということは、会社の建物が使用できないような災害の時でも、財務業務を続けることができます。しかも、TMSはワークフローを直感的に標準化しますので、世界中どこでも同じオペレーションになります。ある拠点が使えなくなっても、財務業務は継続されます。

 

3.  公共サービスの停止 — 電気やインターネットアクセスなどの公共サービスが停止した場合、TMSはモバイル端末を使えば、低速かもしれませんがクラウド経由で稼働し続けます。多くのTMSはモバイル端末からでも機能のほとんどすべてを利用できます。

 

4.  通勤手段の喪失 — 担当者が会社に来ることができない状態になっても、担当者の端末を使って、自宅や他の財務拠点からTMSによる財務業務を継続できます。貴社の情報セキュリティ方針に準拠しながら、執務室以外からのシステムアクセスを限定して設定することは、TMSであれば行えます。

 

これらの効果は明らかであるものの、数値化しようとすると少し難しいです。一般的には次の2つの方法があります。

 

a) そのTMSではなく他の代替手段を使ったときに、同じレベルで事業継続するためには、いくらかかるか計算する方法(社内ITコストも忘れずに)。

 

b) 代替手段では同じレベルの事業継続を実現できない時、それぞれのシナリオごとに会社に発生する費用や損害額を計算する方法。その費用や損害額の見積もりに、そのシナリオの発生確率を掛け合わせます。

 

銀行手数料とコストの削減

 

銀行手数料は財務部門の年間コストのかなり高い割合を占めます。これらは銀行手数料の削減効果です。例えば、

 

·   銀行取引明細取得 — 銀行取引明細の取得を集約することは、毎日銀行のインターネットバンキングにログインして作業をする回数を減らします。とくに、グループ全体で複数の担当者が同じデータを何度も照会して抽出している時には顕著です。

 

·   ユーザーID — 通常の銀行インターネットバンキングでは、ユーザーIDの数に応じて課金されます。TMSを使えば、ID数を減らすことができますので、銀行のサービス手数料が著しく削減されます。

 

·   データ保管 — 銀行はしばしば、送金テンプレートを企業用に用意したり、銀行取引明細を90日以上保管したりすることに別料金を請求することがあります。TMSを使えば、データは追加料金なく永久に保存されるので、データ保管料が削減されます。

 

·   取引のネッティング — TMSを使って送金や、借入/運用、グループ内決済を相殺できれば、送金やFXヘッジの件数と金額を小さくでき、結果、送金やヘッジのコストも削減されます。

 

·   銀行手数料分析 — 銀行手数料を短期的または長期的に分析することで、取引件数が少なかったり、残高の少ない口座や銀行を解約して、銀行手数料を削減できます。

 

まとめ

 

TMSはCFOやトレジャラーに対して、このように多くの即効かつ持続する価値を生み出しますが、TMSの最近のソリューションは値ごろ感があります。TMSの価値は無限と言ってよいでしょう。クラウド型のソリューションは、使った分だけ支払うというモデルだからこそ、財務のテクノロジーのROIは5年前よりはるかによくなっています。10年以上前とは比較になりません。

 

 

TMSのROIを考える上でさらに理由が必要な人は次の思考実験をしてください。もしあなたが転職を考えているとしましょう。あなたはそのポジションを、高度なTMSを使いこなしている他社のトレジャラーと競うのです。もしあなたの履歴書にトレジャリーのITを導入したことが書いていなければ、あなたがスマホの使い方を知りませんと書いているのと同じことです。

 

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