日本CFO協会の創立15周年スペシャルイベント「CFO DAY & NIGHT 2015」を協賛しました。

日本CFO協会

キリバ・ジャパン株式会社は、2015年9月2日に開催された「CFO DAY & NIGHT 2015」を協賛しました。

 このイベントは、日本CFO協会が設立15周年を記念して、CFOや経理・財務部長向けに講演会と交流の場を企画したものです。

 講演会では、経済産業省の「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクトの「最終報告書」(通称、伊藤レポート)をまとめられた伊藤邦雄 一橋大学特任教授より、持続的成長に向けてCFOがなすべきことについて講演がありました。これを受けて、日本CFO協会の今年度の活動テーマである3つの部会(M&A部会、国際税務部会、次世代グローバル財務責任者部会)より、それぞれの活動報告と、主な論点の紹介と提言がありました。最後に、三菱商事株式会社 代表取締役常務執行役員の内野氏と、株式会社村田製作所 代表取締役副社長の藤田氏を新たにお迎えして、CFOの課題とチャレンジについてパネルディスカッションが行われました。

 

伊藤レポートが提言すること

・伊藤レポートは、企業が持続的成長により企業価値を高めていくための提言をまとめたもので、機関投資家向けのスチュワードシップ・コードと、企業向けのコーポレートガバナンス・コードとともに、企業の持続的成長に向けた三本の矢の一つと位置付けられています。

・伊藤レポートが描く、持続的な成長の“見取り図”としては、企業が「稼ぐ力」を高めると同時に資本効率も向上させ、株主へ迅速かつ果断な開示を行い、対話をしていくことで、株主との協創を生み出し、その成果として持続的な成長が得られる、というものです。

・従って、この講演会での討論テーマとしては、「稼ぐ力を高めるには、そして資本効率を向上させるにはCFOは何をすべきか」「開示や対話をどのように行っていくのか」がキーワードになりました。

 

その“見取り図”を具現化するために

・これらのキーワードに対して、日本CFO協会の三部会が、今年の活動をもとに提言を行いました。

-M&A部会は、「稼ぐ力」を高める部分について「攻めのガバナンス」を構築して、オーガニックグロースの不足分を補うM&Aを行い、稼ぐ力を高めていくことを提言。

-国際税務部会が、資本効率を高める部分について、時には税務当局にも働きかけながら果断に実効税率を下げていくことを提言。

-次世代グローバ財務責任者部会は、効率的に稼いで株主との協創を作り上げていくために、財務管理の仕組みを構築し、CFOを育成していくことを提言。

 

実際は?

・最後に村田製作所と三菱商事のCFOに登壇いただき、これらのキーワードについて、三部会の座長との間でディスカッションがなされました。時間があればさらに深めたいような密度の濃い議論となりましたが、あえて一言にまとめますと、少なくともこの2社では、

・攻めのガバナンスについては、アクセルとブレーキのバランスをとるのは同一主体であることは共通。監督機能と業務執行機能をより分離して、取締役会ではより中長期的な議論に注力したいとも。

・実効税率を下げることについては、国内がメインか、海外を主戦場とするかで、自ずと姿勢に違いがみられたように思います。海外は税処理が大きなインパクトになることが多いため、税効果も意識した計数管理をしているようです。

・CFOを育成することについては、外資は総じてスペシャリスト型キャリアパスですが、日系企業はゼネラリストに対するこだわりが強いという差が浮き彫りになったと思います。この問題は財務領域に限らず古くて新しいテーマですが、それぞれの価値観の違いが大きく、そう簡単にどちらが望ましいと言えるようなものではないようです。

 

 CFOと三部会座長の議論を一見しますと、「べき論」と現場のギャップが大きい部分も目立ったかもしれません。

 しかし、伊藤教授によれば、この2年間で上場会社は変わってきており、その変化の度合いは過去35年間で最も激しいそうです。

 この点は実際に弊社も実感しています。弊社が日本に進出した3年前はまだ、グローバルで財務管理の仕組みを作り上げようという時に、目的が曖昧であったり、費用対効果が焦点になって頓挫するケースが極めて多かったです。しかし最近は、統制の観点でこのような仕組みは必須のもの、当たり前のものという認識が広まっているように感じます。

 もう一点、伊藤教授のコメントで印象深かった点は、伊藤レポートの基本的な考え方は、既に松下幸之助さんが語っていたということでした。企業にとって株主は自分たちのご主人であるがゆえに規律を守り、株主は株を持つことによって社会の発展に寄与するという意識です。

 ここ2年のうちに、コーポレートガバナンス・コード、スチュワードシップ・コードという新たなガバナンスの枠組みが定められました。昔から、何か大きな不祥事が起きたり、相次いだりした時に、それらを防ぐために、統制、監視、管理の仕組みやルールが後付けで定められてきました。企業はその都度、膨大な費用をかけて、プロセスやシステムを整えてきたわけですが、統制の仕組みを作る目的が、その制度対応そのものになり、チェック、チェック、承認、承認というガチガチのプロセスやルールになってしまいがちです。

 制度設計をするときに、松下さんが語る「そもそも」に立ち返って、自分たちの会社はどうすべきかを定め、その理由付けをしっかりしておくべきだと思います。少し話が飛躍するかもしれませんが、IFRSなどのように基本原則までは定まっているが、そこから先の基準やルールは企業の裁量に任せるということは増えてくると思います。

 制度や価値観が多種多様なグローバルの中で、箸の上げ下ろしまで誰かが決めてくれるというのは現実的ではなくなっています。この機会に、独自の制度設計を行い、なぜそうしたのか、なぜそれが有名無実にならずに継続的に機能し続けられるのか、いつでも株主や第三者に説明できるようにしておくべきだと思います。

 企業が「自律」してガバナンスに取り組むというのも、この日のキーワードでした。伊藤レポートでは、「コーポレート・ガバナンスは『自律』と『他律』のバランスのとれた組み合わせによって成立する」としています。「自律している」とはどういう状態か、どうしたら自律できるのかという問いは、一見禅問答のような話で収束しない感じがありますが、実はこの、自分たちが実行・継続できる有効なルールと仕組みを自分たちの手で作っていくことこそが、その第一歩ではないでしょうか。