非常時のリスク管理:各社の財務担当者からの提言

By Bob Stark 2020年3月30日

3月11日(木)にブログ非常時に財務担当者が手にする新たな機会を投稿してから数日のうちに、多くの変化がありました。前回の記事に対し、前向きで洞察に富む沢山のフィードバックを頂きました。前回は、財務部門による事業継続計画の策定、効果的な流動性管理の評価、コントローラ、与信・調達部門と連携したサプライチェーンの流動性に対する懸念の解消といったテーマを、取り上げました。今回は、それに加えて新たなインサイトを紹介します。様々なインサイトを提案してくれた、取引先や同僚の皆さんに感謝します。

 

在宅勤務

世界の大半の国が、在宅勤務を実施または検討しているようです。キリバも、全社的に在宅勤務ポリシーを採用しています。かくいう私も現在、保健当局の指示に従いカナダのバンクーバーにある自宅で「自主隔離」中です(症状があるわけでも、濃厚接触者でもなく、単に先日海外から帰国したからです)。家から出ないのは大変ですが、こうした実効的な勧告は、私も素直に受け入れられます。

トレジャリーという観点から、災害復旧計画と現在の状況の違いについて、多くのフィードバックを頂きました。現状では、テレワークがいつまで続くかわかりません。多くの方から、災害復旧(DR)や事業継続計画(BCP) は比較的短期間(最長1週間など)を想定したもので、長期的なテクノロジーソリューションは導入されていない、とのご指摘を受けました。例えば、一部の読者からは、うちの会社の事業継続計画では、銀行ポータルを使って支払を行うことになっているが、それでは、一元的な支払ポリシーの実施や不正検出スクリーニングは不可能だとの意見が出ました。支払管理に一貫性がなくなるせいで、不正支払のリスクが高まるのでは、との懸念も聞かれました。

投資

(米国の場合)連邦政府と中央銀行がすぐさま金利を引き下げたため、財務部門は、短期投資の利子所得減少を埋め合わるよう、迫られています。キャッシュリターンは、財務パフォーマンスを評価する最も一般的なKPIのひとつだからです。

一部のクライアントからは、数年前にマネーマーケットファンド規制の変動NAV条項が施行されたため、自分の会社では、プライム・マネー・ファンドはもう選択肢に入らない、との指摘が出ました。元本が目減りするリスクは冒せません。大幅に目減りする可能性は低くても、プライム・ファンドで損する恐れがあるなら、連邦預金保険公社(FDIC)の保証がある商品に目が向くというのです。加えて――どれほど見込みは薄くても――期限前償還の一時停止が実行される可能性があることも、別の投資オプションを検討する要因になっていました。

銀行との連携

財務部門は資金繰り予測を評価しますが、銀行も、数年前に実施されたバーゼルIII規制を背景に、自行の流動性を管理しています。そのため、常に連絡をとりあい、自社の最新の資金ニーズや流動性ニーズを銀行に伝えておく、特に、与信枠を使う予定があれば知らせておくことが、大切です。銀行の計画や戦略は絶えず変化しています。そのため、銀行側も、貴社をサポートするために、バンキングニーズや与信ニーズを把握する必要があります。

グローバルな資金可視化

一部の企業の財務部門は、世界の全ての市場で準備金を用意し、想定外の非常事態に対し簡単に流動性を提供できるよう、セーフティネットを構築しています。これにより、グローバルな資金可視化ニーズが高まるため、CFOや財務担当者からは、自動的な日次レポーティングを行えない銀行について、TMSとの接続を求める声が出ています。100%のグローバル資金可視化を実現するため、銀行または銀行口座を追加するのは、TMSユーザーにとって、難しいことではありません。

支払

詐欺師たちが、この機に乗じて支払管理の脆弱性につけこもうとすることは、容易に予想できます。彼らは多くの場合、財務部門と経理部門の連携不足(CFOが不在など)や非常事態――残念ながら、ほとんどの財務部門が現在、これに近い状況に置かれています――を巧みに利用して、不正支払をまんまと成功させています。これに加えて、確実な文書化やバックアップなしに、メール経由で依頼される支払が増えることで、標準ポリシーに例外が生じやすくなります。ほかならぬ今こそ、効率的、集中的な標準支払プロセスの導入を重視することで、不正支払から企業を守れるでしょう。

もうひとつの興味深い意見は、国境を越えた支払に関するものでした。数名の方から、SWIFTgpiや、支払実行と為替レートの予測可能性を高める専用バンキングサービスを含む、効果的な国境を越えた支払サービスの導入を検討中だという、報告を受けました。危機が長引くなか、今以上のスピードと確実性を約束する選択肢を求めるのは、当然のことです。

制限条項

ほとんどの財務部門は、現在、制限条項と与信契約の見直しを行っています。多くの企業にとって、制限条項は、自社の株価や負債比率と結びついています。パニックで株式相場が下落した場合、制限条項を下回り、様々な痛手を受け緊急事態に陥ることだけは、避けたいものです。

格付け機関、財務レポーティング

旅行・ホスピタリティ、保険、外食、石油・ガスなどの業界を中心に、一部の企業の財務部門は、格付けをあらためて確認するため、格付け会社と協議を行っているかもしれません。まだ協議を実施していない場合も、これを機に、財務の健全性と強靭性を示すメッセージを発信するため、財務部門からCFOや経営陣に対し、戦略的なガイダンスや分析を提示してもよいでしょう。

格付け会社と既に協議中の企業は、資金残高、運転資金ニーズ、流動性アクセス、資金繰り予測シナリオの信頼性を明確に示すよう、求められたといいます。データ可視化ツールを持つ企業は、経営陣の不安を比較的簡単にやわらげ、むしろ、財務部門は信頼の置ける戦略的パートナーであるという自信を、植えつけることができました。

それどころか、こうした緊急時の協議を、次の会計報告に向けてCFOとCEOをサポートするチャンスに変えた企業もありました。投資家やアナリストは、次の会計報告で、資金、流動性、リスク管理をめぐり従来以上に突っ込んだ質問をしてくる可能性が高いからです。

最後に、この先行き不透明な時期に、財務部門は以下を期待されています。

  • たとえテレワークでも、フル稼働する
  • 資金、流動性をめぐる喫緊の課題に備えて、レポーティングダッシュボードを作成しておく
  • 為替動向が、キャッシュフローと収益に与える影響を把握する
  • 資金をめぐる喫緊の課題に対し、適切な回答を用意する
  • 全ての金融市場の変動に備える

既に株式市場では、想定以上に大きな変動が起きています。悪いニュースが増えれば、この憂慮すべきトレンドが続くか、一層悪化すると考えられます。あまり悲観視したくありませんが、財務部門としてあらゆる展開に備え、自社の財務資産を守ることが大切です。

 

*本記事は2020年3月に掲載された翻訳版となります。オリジナルはこちらをご参照ください。

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